Vol.10 競馬

 


月に一回、いではくが飲み屋さんへ行って軽く酒とつまみをやりながらテーマに沿った話をする「酒と話」。第10回は第4回でお世話になった「Osteria Bar the Passion」で趣味の一つである『競馬』について語ってもらいました!


初競馬

 モーターボート競走会*の職員で競馬好きがいて、その人に一緒にやろうよって誘われてて、後楽園か渋谷の場外馬券場に行ったこともあったんだけど、初めて馬券を買ったのは1966年のダービー。今でも優勝馬の名前を覚えてるよ。

 あん時は今みたいに出走馬が最大18頭なんてことがなくて28頭出てたんだよ。考えられないだろ?(笑)だから一枠に3頭ずつ入って、尚且つ外の6、7、8枠は4頭入ってたはず。それで枠番3と7がきて5,000円くらい配当がついた。その年は春のG1、皐月賞かオークスだったか忘れたけど、そこでも3−7だったんで、「今年は"3-7"がくる年なのかなぁ」と思って、安田記念で3−7を洒落で買ったら、大当たり。8,800円の配当で500円買ってたから、44,000円になった。あの頃の給料が1ヶ月27,000円くらいだったから、給料2ヶ月分近い金が突然入ったんで、即行友達たち連れて、うまいもん食って、キャバレー行ったりして一晩で使い切った(笑)




 ダービーは外したけど一発目で面白いなと思った。そうは言っても昔は携帯で買うとかもちろんないし、仕事柄地方に行くことも多かったから、今みたいに毎週はやってなかった。G1をやる程度だったね、最初は。

 地方に行ってたって言えば、昔、仕事で地方に行くから当日買えないんで、前売りで買った馬券を東京に戻ってレース結果調べたら「当たってるぞ!」ってなってね。馬連で5万いくらかついて、それを1,000円分持ってたから50万以上になって、その金使って家族でオーストラリアへ旅行に行った、なんてこともあったね。




昔と今の競馬

 まず単純に馬券の種類が増えたよね。昔は単勝、複勝、枠連しかなかったけど、今はワイドや3連複、3連単なんかも出てきて、よりギャンブル性も高くなってきた。少額でも夢が見られるって意味では良い時代になったなぁと思う。3連単なんか100円でも何百万になることもあるからね。

 それから、昔は天皇賞とか有馬記念とか長い距離を勝つ馬が良い馬だってのがあったから、そういう血統が重視されてたんだけど、だんだん中距離、マイルのG1も多くなってマイルの競走に適した血統の馬が出てくるようになったよね。そう意味でも競馬が昔と変わってきたなと思うね。




一番相性の良い開催場、馬券の種類

 馬券の種類で一番買ってるのは3連複。要するに軸馬さえ決まれば、その馬が3着までに来れば良いんだ、って思うと割り合い気楽に買えるというか。まぁヒモをどうするかってのはあるけど、3連複が今は好きかな。

司会の徳光さん*も競馬好きだから、話したことがあるんだけど、あの人は3連単が好きなんだよ(笑)配当が上がるから人気馬が2着とか3着とかになるのが、面白いんだって。

 開催場で勝率が良いのはやっぱり東京競馬場だね。ダメなのは小倉、福島(笑)もう毎年、1月から安田記念まで儲けて、「結構口座に貯まったなぁ」とか思うんだけど、夏のローカルで全部吐き出す(笑)だから夏競馬をやめりゃ良いんだけど、それがやめらんねぇ(笑)毎週土日、競馬の時間だってなるとソワソワするんだから、まぁ中毒だよ(笑)

 でもそんなに、なんつーの、博打で身上潰すほど賭けるワケじゃなくて、ごく楽しみの範囲でやってる分には害もないし。まぁ遊びの一種でやってるだけだし、遊びには何やったって多少の金はかかるんだから。だからその程度でやってるから面白いんだよね。

 それに馬の特性とか血統とか展開だとか、いろんなことを考えるから頭の体操みたいなモンだよ、この歳になると。


 余談だけど、タイプ的には追い込み馬よりも逃げ馬の方が好きだね。先頭切って逃げて、3着までに残ってくれ!っていう。逃げ馬ってのは純粋に能力だけで走れるでしょ。展開の不利とか挟まれたとか出口がなかったとか、そういうのがないから。とにかくハナ切ってりゃ自分の能力だけで走って勝つか負けるかってことでしょ。だから早いペースで走って沈むこともあるけど、それも含めて能力だから。追い込み馬は豪快に差しが決まれば、拍手喝采モンだけど、展開次第なところもあるし、不利も受けやすいしね。スローペースで逃げられて上がり33秒台のアシ使っても届かない、ってのがあるからね。馬券の中心にはしづらい。




強いと思った馬
 間違いなくシンボリルドルフ*!あの馬は強かったと思うね。その前のスピードシンボリも強いと思ったけど。あの頃のシンボリ軍団、確か和田さんって人がオーナーだったかな?、勝負服が斜め一本のタスキだったんだけど、夢にまで出てきたからね(笑)そのくらいハマってた。

このレースは悔しかった

 そんなもんは数限りなくある!(笑)ハナ差だとか縦目で来たとか、いちいち覚えてらんねぇから忘れちゃうけど、いくらでもあるよ(笑)でも負けたことは忘れて勝ったことだけ覚えてるってのはゲームの本質だからね。そういう意味じゃ幸せなゲームだよ、競馬は。ゴルフだってそうでさ、あん時とったバーディーは、とかイーグルはってのは覚えてるけどOBだダボだなんてのはすぐ忘れんじゃん。人間はね、そんな不幸なことを覚えてられない動物なんだよ(笑)だから競馬もゴルフも続けられんだよ(笑)




今回はこれまで。いかがだったでしょうか?
第11回は、年末特別企画『俺のゴルフクラブ セッティング』を12月15日にリリースします。お楽しみに!


モーターボート競走会* 大学卒業後、全国モーターボート競走会連合会で4年間働いていた
司会の徳光さん* フリーアナウンサーの徳光和夫さんのこと
シンボリルドルフ* 史上初の七冠馬、「皇帝」または「七冠馬」と称される

【いではく プロフィール】
作詞家。1941年、長野県南牧村生まれ。早稲田大学商学部卒。
主な作品:「北国の春」(千昌夫)「すきま風」(杉良太郎)「早春情歌」(小林旭)「さっそく振込みありがとう」(順弘子)「昭和流れ歌」(森進一)など。
JASRAC第16代会長(任期:2016〜2022年)

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今月のお店:Osteria Bar the Passion


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