Vol. 29 青春のポケット
月に一回、 飲み屋さんで軽く酒とつまみをやりながらテーマに沿った話をする「酒と話」。新シ リーズ『自分の中のヒット曲たち』の6曲目です!! "作詞生活50数年。600曲以上を作ってきた中で、売れなかった曲の方が圧倒的に多い。だけど、(売れなくても)作者として「良い歌が書けた」と思う歌がたくさんある。いつかはそういう自分が気に入っている歌だけを集めて、例えばLP盤など形にして、もう一度世に問いたいと思ってる。それが俺の作詞家としての集大成 " 青春のポケット 歌:南一誠 作曲:大谷明裕 2009年 / 日本コロムビア 青春のポケットは、広島を活動拠点にしている歌手の南一誠*さんに「北国の春*」のアンサーソングみたいなものを作ってもらえないか、という依頼を当時コロムビアでディレクターをしていたTさんからもらったのが始まり。 「北国の春」は地方から都会に出てきた若者が自分の故郷を想う歌なんだけど、逆に地方にいて都会に行った友達に対して、「もうそろそろこっちに帰ってきなよ」という呼びかける歌がいいということだったんだよね。 この依頼を受けた時、俺も68歳、演歌・歌謡曲のメインリスナーの年齢も上がってきているという状況も考えて「北国の春」で描いた若者から歳を重ねた人達を、という設定にして作った歌なんだよね。 で、「青春のポケット」というタイトルなんだけど、青春時代というのは友達付き合いとかヤンチャをやったりとか色んな思い出があって、それが心に詰まっていることを”青春のポケット”という言葉で表現した。一緒に過ごした青春の思い出がたくさん詰まっているポケットをもった友達に対する呼びかけソング。 作曲は大谷明裕*さんで、非常に良い若々しいメロディーを付けてくれた。制作当時、彼とはいろんなことを話し合って一緒に歌を作っていたこともいい思い出だし、自分の年齢や周りの状況を踏まえた等身大で作った歌なんで、今でも心に残っている。実際、リリース時は俺自身、カラオケでよく歌ったし、明裕さんも自分のライブのオープニングソングとして長く歌ってくれている。 残念ながら、マスメディアに大きく取り上げてもらえなかったんで、またこうして自分で語ることによって、もっと多くの人の耳に届いて欲しいと思ってる。 今回はこれまで。いかがだったでしょうか? 第30回は『新