Vol.15 サブスクリプションと専業作家の今後(後編)
月に一回、いではくが飲み屋さんへ行って軽く酒とつまみをやりながらテーマに沿った話をする「酒と話」。第15回は、前回に続いて『サブスクリプションと専業作家の今後(後編)』です! 前編はこちらをご覧ください▼ Vol.14 サブスクリプションと専業作家の今後(前編) 誤解のないように言っとくけど、消費者が悪い訳じゃないからね。人が悪いんじゃなくて、専業作家にとって良い方向にいかないシステムが出てきたからっていうだけだから。要するにサブスクっていうサービスが消費者にとっては便利なんだけど、その便利さが作り手を圧迫していってる状況。消費者にばっかり向いてて、作り手側の方に目が向かなくなっていくと、やがて音楽そのものが枯渇していくってことはありうる。作り手側と利用者側のバランスが取れてれば良いんだけど…。 音楽作家の未来 これはこの人にしか書けないっていう個性とか、ずば抜けた技量とセンスを持っている作詞家や作曲家にはさ、そのうちに昔の王侯貴族みたいなすげー金持ちがでてきて、報酬はいくらでも払うから「俺のためだけに書いてくれ!」っていう時代になりかねない。 時代的にも格差は広がってるから、大金持ちはサブスクで巷に溢れている曲じゃ満足しなくなって、俺の誕生日パーティーのための曲を1000万で書いてくれ!みたいなね(笑)。そういう人たちが出てくるかも。 絵だって同じで、世の中に売ろうとしなくて良いと。俺のためだけに描いてくれ、俺が全部買い取るからって。昔のヨーロッパみたいにパトロンのためだけに創作をするっていうスタイルに逆戻りする。 俺もあっちこっちの会社や自治体の歌を書いたけどさ、印税はほとんど産まないけど、請負い仕事でしっかりもらうっていう。逆にそういう方が稼げるかもしれない。 そうなるとさ、一般の人たちに向けた歌は差別用語はダメとか縛りがあるけど、世の中にリリースする訳じゃないから、どんな表現だって(依頼者が)「問題ない!俺はこういうのが好きなんだから!」って言えば良いんだから。 例えば一節太郎さんの「浪曲子守唄*」の歌詞で「土方渡世」とか「めしたき女」ってあるんだけど、今だったら絶対言っちゃいけない、差別用語だ、と言われる言葉なわけだよ。でも(依頼者は)OK!OK!と。プライベートで歌われるだけなんだから、教育上良くないとかなんて関係ない