Vol. 41 特別号
先日行われた自民党総裁選で惜しくも敗れた小泉進次郎氏。しかし、高市氏との決選投票となるほど、自民党内では評価が高いことがわかりました。そして、ネット上では彼だけでなく、父の小泉純一郎元首相についても多くの言及がありました。 2007 年、小泉純一郎元首相は郵政を民営化しました。これについて、いではくは自著「小さな疑問 大きな波紋」 (EH 出版/2007年 ) の中に「選挙の風」というタイトルでエッセイを書いています。 小泉親子に注目が集まっている今、皆さんに楽しんでいただけるかと思い、リリースいたします!是非、ご一読ください。 「選挙の風」 何年か前、郵政民営化選挙というのがありました。 小泉前首相が「郵便局がやっている三事業 ( 郵便、貯金、保険 ) を民営化しよう」と出した法案が、衆議院では可決されたものの参議院で否決され、それでは「国民に真を問う」と衆議院を解散したための選挙です。 そこで「抵抗勢力」だの「自民党をぶちこわす」だのといった威勢のいい小泉節が巻き起こした大旋風が吹き荒れて、結果は自民党の大勝利になってしまいました。 しかし、この選挙にはいくつかの疑問が残ります。 まず、参議院で否決されたからといって衆議院を解散したことです。 もうひとつは自民党内で民営化に反対した人達を徹底的に排除するための選挙対策をしたことです。 衆議院が「良識の府」と呼ばれて二院制をとっているわが国の国会で、そこが出した結論がまったく尊重されないで、衆議院を解散してしまうというのはどう考えてもおかしいでしょう。 反対された参議院は解散できないから賛成した衆議院を解散するという考えはどこから出るのでしょうか。 あの選挙のことを考えていたら、ふと次のような光景が浮かんできました。 お菓子の欲しい子どもが母親にねだっています。 でも母親は「がまんしなさい」と言って子どもをなだめすかしています。そこで子どもは地べたに寝転んで泣きわめき、駄々をこねます。 それを見ていた町の人達は子どもの方に同情して、 「あんなに欲しがっているんだから、買ってやればいいのに」 と母親の方を非難してしまいました。 郵政民営化というお菓子が欲しい子どもは小泉前首相、母親はこれに反対した人達や参議院、見ていた町の人達が国民です。 マスコミも含めて町の人達が駄々っ子に加担してしまったため、駄々っ...